偽装請負と労働者派遣の違い
業務委託として依頼していても、発注側が直接細かく指示し、勤務時間を管理していると、派遣との区分が問題になることがあります。厚生労働省の基準で確認します。
公式情報の確認日:2026年10月12日
契約書の名前ではなく、実態で判断される
厚生労働省の疑義応答集のページは、労働者派遣と請負のどちらに当たるかは「契約形式ではなく」、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号、いわゆる37号告示)に基づき実態に即して判断されると説明しています。オンラインアシスタントの契約は「業務委託」「準委任」などの名前でも、発注側の関わり方しだいで確認が必要になります。
37号告示が求める2つの条件
告示第2条は、請負の形で自社の労働者を従事させる事業主が、次の一と二の両方に当たらない限り、労働者派遣事業を行う事業主とする、という形で定めています。
| 区分 | 項目 | 受託側が自ら行うこと(要旨) |
|---|---|---|
| 一 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用 | イ 業務の遂行 | 業務の遂行方法に関する指示その他の管理、業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理 |
| ロ 労働時間等 | 始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇等の指示その他の管理、時間外・休日労働の指示その他の管理(単なる把握を除く) | |
| ハ 秩序の維持 | 服務上の規律に関する指示その他の管理、労働者の配置等の決定・変更 | |
| 二 請け負った業務を自己の業務として独立して処理 | イ 資金 | 業務処理に要する資金をすべて自らの責任で調達・支弁 |
| ロ 法律上の責任 | 民法・商法その他の法律に規定された事業主としての責任をすべて負う | |
| ハ 単なる労働力の提供でないこと | 自己の責任と負担で準備した機械・設備・器材等で処理する、または自らの企画・専門的な技術や経験で処理する |
また第3条は、これらに当たる場合でも、法の規定を免れるために故意に偽装されたもので、真の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができないとしています。
オンラインアシスタントの運用で照らし合わせたい場面
次のような運用は、告示の項目(遂行方法の指示、労働時間の管理、配置の決定)と照らし合わせて確認したい場面です。該当するかどうかは個別の実態で判断されるため、ここでは確認の観点として挙げます。
- 発注側の社員が、アシスタント個人に作業の進め方を逐一指示し、評価もしている
- 発注側がアシスタントの始業・終業時刻や休憩を指定し、出退勤を管理している
- 発注側が担当者の配置や交代を決めている
運用の工夫としては、依頼は受託会社の窓口(ディレクターなど)を通す、成果物と期限で依頼する、手順書は「業務の仕様」として渡す、といった形が考えられます。実際に指示系統をどう組むかは、受託会社と事前に取り決めておきます。
指揮命令が必要なら派遣という選択肢
日々の細かな指示を自社で出したい業務は、そもそも請負・委託より労働者派遣(許可を受けた派遣元からの受け入れ)の形が合っている可能性があります。費用の比較は直接雇用との比較も参考にしてください。
相談先・申込先の選び方
疑義応答集に載っていない事例は、各都道府県労働局が実態に即して個別に判断するとされています。契約前に受託会社へ「指示は誰から誰へ出すか」「稼働時間は誰が決めるか」を書面で確認し、判断に迷う場合は都道府県労働局に相談してください。
同じ前提で比べると、違いを確かめやすいよ。